【FP監修】学資保険の選び方!加入前に知っておくべき4つのポイント

学資保険を選ぶにあたって、保険会社やプランがたくさんあると何をポイントに選んで良いかわからないことがあると思います。学資保険は途中で解約すると元本割れして損をしてしまうことが多いので「何となく」という気持ちで加入して後悔したくないものです。学資保険の特徴をきちんと理解して自分のニーズにピッタリな保険を選びたいですね。
本記事では学資保険を選ぶ時に大切なポイントを徹底解説。意外と知らない特約についても詳細に説明します。学資保険選びの際に是非参考にしてくださいね。

【この記事の監修】

ファイナンシャルプランナー 西田 凌 学資保険プロ

ファイナンシャルプランナー
西田 凌

複数の保険総合代理店にて勤務後、より多くの方に「正しい情報」を届けるために、現在は完全独立系のファイナンシャルプランナーとして活躍中。
年間100世帯の面談経験を元に、個人のコンサルティングやweb上での相談サービスに加え、お金の専門家として様々な情報サイトで執筆を手掛ける。
保険のみならず、年金や社会保険、資産運用や老後資金など幅広い知識で家計にベストなアドバイスを行うFPとして人気が高い。

FP2級・AFP 資格保有

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学資保険は貯蓄型を選ぶのがおすすめ!保障型との違いは?

教育資金を準備するための保険、学資保険は大きく分けて「貯蓄型」と「保障型」の2種類に分けられます。
「貯蓄型」の学資保険は教育資金を貯めることに特化した保険、「保障型」の学資保険は教育資金を貯めることに加え、万一のときの保障もつけた保険になります。
学資保険に加入する人の多くは教育費の貯蓄を主な目的としているため、「貯蓄型」に加入する人がほとんどです。しかし、中には親に万一のことがあった時の保障などを重視する人もいます。「貯蓄型」の学資保険と「保障型」の学資保険の違いをきちんと理解し、契約することが大切です。

貯蓄型学資保険の特徴

貯蓄型学資保険とは教育資金を貯めて増やすことを重視した保険です。支払う保険料の総額に対し、受け取る満期学資金の総額の割合を返戻率といいますが、一般に返戻率は100~110%程度とされています(一部元本割れする商品もあり)。返戻率が100%を超えると、支払った額よりも受取る金額が多いことになります。
学資保険の中には銀行の利息よりも高いものもあり、このような商品の場合、定期預金や積立預金よりも貯蓄性が高いといえます。貯蓄型の学資保険は返戻率を高くするために子どもの医療保障や親に万一のことがあったときの養育年金保障などはありません。しかし、ほとんどの学資保険で親が死亡したり、指定された高度障害を負った場合に「払込免除特約」が適用され、その後は保険料を支払わなくても満期学資金を受け取ることができます

■主な貯蓄型の学資保険と返戻率

学資保険の種類 返戻率
JA共済「こども共済」 101.0~104.2%
アフラック「夢みるこどもの学資保険」 96.7~98.4%
ソニー生命「学資保険スクエア」 104.4~108.0%
フコク生命「みらいのつばさ」 102.5~105.8%
明治安田生命「つみたて学資」 103.1~105.0%
日本生命「ニッセイ学資保険」 102.2~104.9%

※学資保険の返戻率は、祝金の有無や払込期間、医療保障特約などのプラン内容によって変動します。

貯蓄型学資保険のメリット

  • 計画的に教育資金を貯められるため、貯蓄の苦手な人でも学資金を貯められる。
  • 返戻率が高く、支払った保険料以上の満期学資金が受け取れる。
  • 親が死亡したり指定の高度障害になった場合、払込免除特約が適用される。

貯蓄型学資保険のデメリット

  • 子供の医療保障がない。
  • 親が万一のときも育英年金などの保障がない。

保障型学資保険の特徴

保障型学資保険とは教育資金の貯蓄に加え、子供のためのさまざまな保障を重視した保険です。たとえば子供が病気やけがをしたときは医療保障や死亡保障、親が死亡した場合は育英年金などの給付金が確保できます。
保障を付加すれば保険料は高くなるため、満期学資金が保険料の総額を下回って元本割れしてしまうことが一般的です。付ける保障内容によりますが返戻率は60~90%と低いため、自治体の医療費助成が手薄だったり、他の保険で医療保障や死亡保障をカバーされていない人が保障型学資保険を選ぶことが多いです。
かんぽ生命の「はじめのかんぽ」、損保ジャパン日本興亜ひまわり生命の「こども保険」、太陽生命の「わくわくポッケ」などが保障型学資保険になります。

保障型学資保険のメリット

  • 子どもの医療保障や死亡保険金を受け取れる保険がある。
  • 契約者(親)が死亡した場合、死亡保険金や育英年金が受け取れる保険がある。
  • 契約者(親)が死亡したり指定の高度障害になった場合、払込免除特約が適用される。

保障型学資保険のデメリット

  • 返戻率が悪く元本割れする。
  • 自治体の医療費助成を受けられる場合があり、医療保障が必要でない場合がある。

学資保険の選び方~重要な4つのポイント

貯蓄型と保障型のメリット・デメリットを理解したら、次はたくさんの保険商品から具体的なプランを選ぶ必要があります。ではどういったことに気を付ければ良いでしょうか?保険を選ぶ上で外せないポイントをご紹介します。

返戻率の高い保険をチョイス

返戻率の高さは保険を選ぶときに一番重視するといってもいいのではないでしょうか。貯蓄型の学資保険で返戻率が高いソニー生命「学資保険スクエアⅢ型」の契約例だと108%にもなります。
この保険で試算した場合、保険料支払い総額277万6200円で22歳までに300万円の満期金を受け取れます。これを預金利率に直すと利率0.36%になります。定期預金の金利が0.01%程度なので、その差はなんと36倍!普通に貯蓄するよりもはるかに効率よく教育資金を貯められることがわかります。
同じ保険会社の保険であっても加入時の年齢や払込期間などによって返戻率が変わります。払込期間を短くしたり、全期前納(一括払い)にすると返戻率のアップに繋がります。保険のプラン概要をしっかり把握し、損のない保険商品を選びましょう。

特約をチェック!

「保障型」の学資保険を選んだ場合、主契約とは別に特約を付けることができます。おもな特約は以下の通りです。

災害特約 被保険者(子供)が事故などのケガにより死亡した場合や、所定の身体障がいになった際に保険金が支払われる
傷害特約 被保険者(子供)が事故や特定の伝染病が原因で死亡した時や所定の障がいになった際に保険金が支払われる
医療保険特約 子供の入院時に日数分支払われる入院給付金と、手術の際に支払われる手術給付金などの医療費が保障される
育英年金 契約者(親)が死亡または高度障害を負った際、その後決まった期間の間給付金が支払われる
払込免除特約 契約者(親)が死亡または特定の高度障害になった時、その後の保険料払込が免除になる。ほとんどの学資保険で自動的に付帯されていて、保険料に影響がない場合が多い

これらの保障があるのは確かに安心ですが、保障を付けるほど保険料が上がるため返戻率は下がってしまいます。最近では子供の医療費の助成が充実している自治体も多いので、医療特約を付けない人が多いです。

払込免除特約は是非つけておきたい特約

払込免除特約とは契約者である親が死亡、または指定の高度障害を負ったときに保険料の支払いを免除するものです。この特約を付けておけば満期になったときに予定していた学資金を受け取れるので安心です。特約はほとんどの学資保険に自動で付帯されていますが、そうでない場合もあります。返戻率を重視しているので特約は付加したくないという人であっても、学資保険の最大の特徴ともいえるこの特約だけはつけておくことをお勧めします。

契約者は収入の多い人に設定を

契約者は両親のどちらかに設定することが一般的です。祖父母が契約者になることも可能ですが、年齢や健康状態によって保険料が高くなります。また、祖父母が契約者で受取人が親や子供の場合は、税率の高い贈与税がかかる場合があるので、契約者はやはり両親のどちらかに設定するのがベターです。
払込免除特約や育英年金特約を付加した場合は、契約者を収入の多い方に設定しておくのが良いでしょう。なぜなら万一のことがあって収入が激減しても、満期金や祝い金を予定通り受け取り教育費や生活費をきちんとカバーできるためです。

満期金の金額や受取時期はどうする?

学資保険を「貯蓄型」の保険か「保障型」の保険かどちらにするか決めたら、次は具体的にいくらの学資金を、どのタイミングで受け取るかを決めます。
加入するときは子供がまだ小さいので進路のイメージが沸きにくいかもしれませんが、いくつかのパターンを考えることが大切です。いざというときに困らないよう、必要時に確実にお金を受け取ることができるプランを選択しましょう。

大学進学時に満期金を受取るのがベスト

保険料の払込満了時期は義務教育でお金が比較的かからない10~15歳を選ぶ人が多いです。では満期金の受け取りはいつが良いのでしょうか?
学資保険では、高校進学時に学資金を受取り、大学入学時に満期金を受取るタイプや、大学の入学時に一括して満期金を受取るタイプなど様々なタイプがあります。一般的には大学入学に合わせて満期金を一括して受け取る18歳満期を選ぶ人が多いです
ただ、18歳満期といっても保険会社によっては、満期金が支払われるのは18歳の誕生日後の契約日の場合もあり、子供の誕生月によっては高校卒業時の進学学資金が必要な時期に間に合わない場合もあります、また、AO入試や推薦入試で合格すると入学金を年内に納める必要がある可能性もあります。その点なども考慮し最近では17歳満期を選べる保険かを重視する傾向があります。

家計に不安のある場合は祝い金のあるものを

転ばぬ先の杖の保険ですが、保険料の支払いが負担になってしまい教育資金が必要な時期が来るまで乗り越えられるか不安…という人もいると思います。途中で解約してしまうと、ほとんどの場合解約返戻金は元本割れしてしまいます。何より無理のないプランで契約することが大切です。
そういったときのためにも、高校入学などの節目に入学祝金をもらえるプランを選んでおくと心強いです。子供が進学、自立するまでを長期的に考え、資金が必要になる時期の見通しを付けておくと安心です。

満期保険金は200万円程度が目安

大学進学のため子供が17~18歳頃に満期を迎えるとして、満期金はどのくらいに設定するのが良いのでしょうか?
文部科学省の「私立大学等の2016年(平成28年)度入学者に係る学生納付金等調査」によると、2016年(平成28年)度の私立大学の授業料平均は877,735円、入学金253,461円、施設設備費185,620円になっています。つまり初年度にかかる納付金の合計額は1,316,816円ということです。
さらに受験料や滑り止めの大学への納付金を考えると、満期保険金は200万円程度が必要だとわかります。公立大学のみを考えている、医療系の学部に進むなど進路によってかかる費用は変わりますが、200万円を目安に検討するのが良いでしょう。
児童手当で受け取れる合計金額は200万円前後ですので、他の支出に回さなければ無理なく準備できます。

払込期間が短いほうが返戻率が高い

多くの保険プランでは満期を迎えるまで毎月保険料を払い続けます。しかし保険会社によっては契約時に保険料を全て納める全期前納(一括払い)、10年払い、15年払いなどを設定することができます。短期間で保険料を払い終えると、保険会社に保険料を長い期間預けることになるため返戻率が上がるのです。払込期間を短くすると月々の保険料はアップしますが、返戻率が上がるほか教育資金が家計の負担になる前に払い終えられるというメリットも見逃せません。
とはいえ、保険料が負担になっては本末転倒になってしまうので、家計が苦しくならないか具体的な額を確認しましょう。

加入はできるだけ早いほうが良い

学資保険の加入は早ければ早いほど保険料が安くなり、返戻率が上がるというメリットがあります。加入可能年齢は保険会社によって異なりますが、0歳から7歳ごろまでのところが多いです。
保険会社によっては12歳まで入れる保険もありますが、加入が遅いと契約者の年齢が上がり払う期間が短くなるので、保険料は高く返戻率は低くなります。学資保険に加入することを決めている場合は、早めの加入がベストです。
また保険会社によっては出産前(多くは出産予定日から140日前)から加入することもできます。出産後は赤ちゃんの世話や諸手続きであわただしく、学資保険のことまで考える余裕がなくなってしまいます。妊娠中に生まれてくる子どもの将来をゆっくり検討できるのもメリットです。

学資保険選びのポイントを押さえて、ニーズに合った保険に加入しましょう

保険会社も保険プランもたくさんある中から、冷静に子供の将来を見据えてひとつの学資保険を選ぶのは至難の業…と不安になる人もいるかもしれませんね。返戻率、保障、満期金の受け取り時期など考えないといけないことがたくさんあると思うかもしれません。ですが外せないポイントさえしっかり押さえれば選択肢はおのずと絞られます。大切な子供の進路と家計にとってベストな選択となる学資保険がきっと見つかるはずです。

まとめ

  • 学資保険には「貯蓄型」と「保障型」があり返戻率の高い「貯蓄型」を選ぶのが主流。
  • 返戻率を上げるためには払込期間を短くし、早めに加入するのが良い。
  • 貯蓄性重視派も払込免除特約だけは必ず付加しよう!
  • 満期金額は200万程度を目安に。満期年齢は17~18歳頃、進路や家計に合わせてアレンジを。

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