【FP監修】共働き世帯は要チェック!2019年児童手当の所得制限が厳しくなる?!

0歳~15歳までのこどもがいる家庭に支給される児童手当。こども1人あたり月額5000円~15000円ほどの手当が支給されるこの制度は、子育て世帯にとってはとても有難いものですよね。
ですが2019年以降、政府は児童手当の所得制限について見直しを行うと発表しています。
見直しが決定されると、今まで支給されていた児童手当が減額になったり、受け取れなくなる家庭が出てきます。我が家はどうなるのか、心配ですよね。
今回の記事では、気になるこの児童手当の見直しの内容について詳しく解説していきます。

【この記事の監修】

ファイナンシャルプランナー 西田 凌 学資保険プロ

ファイナンシャルプランナー
西田 凌

複数の保険総合代理店にて勤務後、より多くの方に「正しい情報」を届けるために、現在は完全独立系のファイナンシャルプランナーとして活躍中。
年間100世帯の面談経験を元に、個人のコンサルティングやweb上での相談サービスに加え、お金の専門家として様々な情報サイトで執筆を手掛ける。
保険のみならず、年金や社会保険、資産運用や老後資金など幅広い知識で家計にベストなアドバイスを行うFPとして人気が高い。

FP2級・AFP 資格保有

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児童手当ってどんな制度?

児童手当は、子育て家庭の生活の安定と、次世代の社会を担うこどもたちの健やかな成長を目的に、0歳から中学生までの子どもを持つ家庭に支給される国からの補助金です。
1970年代の制度発足当初は第3子以降が支給対象でしたが、1980年代には第2子以降に、また、1990年代には第1子以降にとその対象が拡大され現在に至っています。

児童手当の支給対象者は「日本国内に居住する中学校修了まで(満15歳になって最初の3月31日まで)の児童」で、受給資格者は「日本国内に居住し、中学校修了前までの児童を養育している方(生計の中心者)」となっています。

児童手当が支払われるのは年に3回。6月、10月、2月に、4ヵ月分がまとめて支払われる仕組みとなっています。

児童手当の申請方法は?

児童手当を受給するには、具体的にどういった申請が必要なのでしょうか?

新規に児童手当を申請する場合

児童手当はこどもが産まれたからといって自動的に支給されるわけではなく、住んでいる市区町村(公務員の場合は勤務先)に申請をしなければなりません。

子どもが生まれた場合は、出生日の次の日から数えて15日以内に申請が必要です。また、児童手当を受けていてほかの市区町村に引っ越す場合は、転出予定日の次の日から数えて15日以内に、転出先の市区町村で申請を行う必要があります。

申請が遅れてしまうと、その分の手当がもらえなくなる可能性があるので、忘れずに行うようにしましょう。

児童手当を新規に申請する際に必要な書類等は、主に以下の通りです。

  • 児童手当認定請求書
  • 申請者の健康保険証の写し、もしくは年金加入証明書
  • 申請者名義の振込先口座がわかるもの
  • 申請者の印鑑
  • 申請者と配偶者の個人番号(マイナンバー)がわかるもの
  • 本人確認書類(運転免許証など)

マイナンバーのわかる書類等がない場合は、マイナンバー法による情報連携ができないため、所得課税証明書が必要になるようです。また、児童が請求者である親等とは別の市区町村に住んでいる場合は、児童の住民票の写しも必要です。

実際に申請する際は、住んでいる市区町村に問合せて必要書類を事前に確認するようにしましょう。
申請については、各市区町村の子育て支援課等の窓口に直接出向いてもいいですし、郵送や電子申請で受け付けているところもあります。

新規申請分の支給はいつから?

児童手当は、原則として申請をした月の翌月分から支給されます
出生日が月末に近い場合は、15日以内に申請をすれば申請日が翌月になっても、申請をした月分から支給されることとなっています。

児童手当の受給を継続する場合

すでに児童手当を受けている場合でも、定期的な手続きを忘れてしまうと以降の手当てが受けられなくなります。
毎年6月頃に受給者宛に届く現況届に必要事項を記入し、子育て支援課等の担当窓口に持参、もしくは郵送で提出するのを忘れないようにしましょう。

児童手当の金額はいくら?計算方法は?

児童手当の支給額は、子どもの年齢や出生順、親など扶養者の年収によって違いますが、基本的に0歳から中学生(15歳の誕生日後の最初の3月31日)までの児童1人につき、月額1万円~1万5,000円が支払われます。
また、所得制限がかる家庭の場合は特例給付となり、月額一律5,000円となります。

児童手当は年齢や出生順で金額が違う

児童手当の月額はこどもの年齢によって、以下のようになります。

児童手当の年齢別月額

子どもの年齢 1人あたり月額
0歳~3歳未満 1万5,000円(一律)
3歳~小学卒業前 1万円
(第3子以降は1万5,000円)
中学生 1万円(一律)

※特例給付は一律5,000円

上記のように児童手当の月額はこどもの年齢によって違ってきます。
また、3人目以降のこどもには0歳から小学校卒業までの間、1万5,000円が支給されます。
こどもが多いとその分出費も多いので、支給額が増えるのはとても有難いですね。

きょうだいの数でいくらになる?児童手当の計算方法

月額1万円~1万5,000円が支給される児童手当ですが、総額としてはいったいいくらになるのでしょうか?きょうだいの数ごとに合計金額をシミュレーションしてみました。

・子ども1人世帯の場合

0歳~3歳未満 年間18万円
(1万5,000円×12ヵ月)
合計54万円(※)
(18万円×3年分)
3歳~中学卒業まで 年間12万円
(1万円×12ヵ月)
合計156万円
(12万円×13年分)
0歳~中学卒業までの合計金額 210万円
(54万+156万円)

※子どもが生まれた年は児童手当を申請した翌月からの支給となるため、0~3歳未満の3年間総額は、出生月によって変わります

子ども1人の場合、支給される児童手当の総額は210万円となります

・子ども2人世帯の場合
第2子の支給金額は第1子と同じなので、上記表にある金額の2倍になります。

第1子・第2子の合計金額 210万円×2人=420万円

・子ども3人世帯の場合
第3子以降は、3歳~小学校卒業までの支給月額が1万5,000円となるため、第1子・第2子よりも年間支給額が多くなります。

第3子以降の1人当たりの支給額

0歳~小学校卒業まで 年間18万円
(1万5,000円×12ヵ月)
合計234万円
(18万円×13年分)
中学校入学~中学卒業まで 年間12万円
(1万円×12ヵ月)
合計36万円
(12万円×3年分)
0歳~中学卒業までの合計金額 270万円
(234万+36万円)

第1子、第2子は中学卒業までにそれぞれ210万円、第3子以降は270万円を受け取れる計算になります。

したがってこどもが3人いる世帯だと

第1子・第2子・第3子の合計金額
(210万円×2)+270万円=690万円

となり、児童手当の総額は690万円となります。

※第1子、第2子または第3子以降とは、養育している18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にいる児童のうち、年長者から数えます。

年収いくらだと所得制限にかかる?2019年に見直されるって本当?

児童手当は、親など扶養する人の所得額によって制限が設けられています(所得制限)。現在の所得制限と、見直し後の所得制限について詳しくみていきましょう。

年収が多い場合は児童手当の支給に制限がかかる

現在は世帯でもっとも収入の多い人の所得が所得制限の対象で、所得制限がかかる金額は、扶養している配偶者や子どもの人数によって変わります。
(※収入から所得控除を引いた分が所得額となります)

所得制限限度額

扶養親族等
の数
所得額(円) 収入額(円)
0人 622万 833万3千
1人 660万 875万6千
2人 698万 917万8千
3人 736万 960万
4人 774万 1,002万1千
5人 812万 1,042万1千

※内閣府のホームページより抜粋

所得金額の計算方法は以下の通りです。
所得金額の計算方法 児童手当 所得制限

現行の制度では、例えば夫婦+子ども2人世帯の場合、年収が960万円を越えると所得制限がかかり、児童手当は特例給付として0歳~中学卒業まで月額一律5,000円が支給されます。

「2019年(令和元年)以降の所得制限の見直し」その内容とは?

所得制限については、現在見直しが検討されていると報じられています。

見直しが検討されているポイントは、所得制限の対象です。
現在は「世帯でもっとも収入の多い人の所得」を制限の対象としていますが、それが世帯全体の合算所得に見直される可能性があります。

例えば妻が夫の扶養に入っている「夫婦+子ども2人」世帯の場合、所得制限のかかる収入額は現在960万円です。夫の収入が900万円、妻の収入が100万円である場合、現状では所得制限がかかりませんが、見直し後は夫婦合算で1,000万円となるため、所得制限がかかることになります。

また、所得制限がかかった場合に現在支給されている特例給付についても、廃止が検討されているとのことです。
見直しが確定した場合、児童手当の支給額が減る、もしくは受け取れなくなる世帯が少なからず出てくるでしょう。

2019年10月から実施される児童教育の無償化に向けて、また保育所の整備や待機児童対策などの財源を確保するための 見直しと言われている一方で、女性の社会進出や少子化対策との逆行も指摘されていて、現在も議論が続けられているようです。

児童手当は貯金するべき?賢い使い道は?

これまで見てきた通り、児童手当は0歳から中学卒業までに支払われる総額で見ると、家計を支える大きなお金と言えます。あらためて、子どものために有効に使いたいと感じた人も多いのではないでしょうか。

子育て費用の中でも、大きな出費となるのが教育費です。特に大学進学時にかかる費用は大きく、国公立大でも200万円以上、私立大なら300万~500万円は必要になってきます。

児童手当は日々の子育て費用を補うものとして助かるものではありますが、子どもの将来のために手を付けず貯金しておくのも一つの手。まじめに貯めていけば中学卒業までに約200万円の貯金となり、大学進学時の親の負担が大幅に軽くなります。

将来子どもが学びたい道や進みたい道を見つけたとき、心強く背中を押してあげられるように、その備えとして児童手当を上手に貯めていけたら安心ですね。

学資保険を利用するのもおすすめ

児童手当を賢く貯めていく方法の中でもおすすめなのは、学資保険を利用することです。
学資保険は、将来へ向けた子どもの教育資金の準備を目的とした保険商品です。
満期時の返戻率が高く設定されており、中途解約をしなければ元本割れの心配もありません。
また、学資保険の最大のメリットは「保険料の払込免除特約」があるということです。
「保険料の払込免除特約」とは、契約者(親)に万が一のことがあった場合その後の保険料の払込がなくても、契約時に設定した満期の金額が受け取れるものです。

まとまったお金が必要となる進学のタイミングに、払込金よりも多く戻ってくることに加え、親のもしもの場合にも備えることができる学資保険。
児童手当を返戻率の高い学資保険の支払いに充てることで、効率よく教育資金を貯めていくことができますよ。

まとめ

児童手当も積み重ねれば大きなお金です。児童手当の所得制限見直しが実際に行われることになれば、より一層大切に生かすべきものになってくるのではないでしょうか。
支給されるごとに何気なく使ってしまうよりも、子どもが巣立つまでにどんなお金が必要になるのかを長い目で見て把握し、子どもたちの将来のために賢く有効に生かしたいものですね。

  • 0歳から中学卒業までにもらえる児童手当は一般的に210万円
  • 2019年以降の所得制限見直しが現在検討されている
  • 児童手当は手をつけず貯めておくとまとまった金額になる
  • 児童手当を学資保険の支払いに充てるという方法もおすすめ

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