【FP監修】学資保険をおすすめしないワケは?4つのデメリットについて

こどもの教育資金のための貯蓄方法としてよく耳にする学資保険。
ですが一方で、学資保険はおすすめしないという声もあります。
学資保険にはいろいろなメリットもありますが、気を付けておきたいデメリットもいくつかあります。
今回はなぜ学資保険はおすすめしないと言われるのか、その理由について詳しく解説します。

【この記事の監修】

ファイナンシャルプランナー 西田 凌 学資保険プロ

ファイナンシャルプランナー
西田 凌

複数の保険総合代理店にて勤務後、より多くの方に「正しい情報」を届けるために、現在は完全独立系のファイナンシャルプランナーとして活躍中。
年間100世帯の面談経験を元に、個人のコンサルティングやweb上での相談サービスに加え、お金の専門家として様々な情報サイトで執筆を手掛ける。
保険のみならず、年金や社会保険、資産運用や老後資金など幅広い知識で家計にベストなアドバイスを行うFPとして人気が高い。

FP2級・AFP 資格保有

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学資保険には返戻率が低い商品が多い

学資保険がおすすめできないという第一の理由として、返戻率の低さがあげられます。
返戻率とは支払った保険料に対して、将来受け取る満期金の割合がどれぐらいかを数値で表したものです。

「受取総額 ÷ 支払総額  × 100」

支払総額(毎月の保険料の総額)と、受取総額(満期や祝金の合計)が同じ場合はこの数値が100となり、返戻率は100%ということです。

一方、支払額より多い額を受け取る場合は100%をこえ、逆に支払額より少ない額を受け取る場合は100%を下回ります。これを元本割れといいます。

近年はマイナス金利政策の影響によって予定利率が下がり、多くの保険会社で返戻率が下がっています。

マイナス金利政策の影響で標準利率がそれまで1.0%だったのが0.25%に下がったため、各保険会社の予定利率も下がりました。
保険会社は集めた保険料を運用して増やし、支払う保険金を用意します。
ですから予定利率が下がると支払額が減り、返戻率も下がることになります。

学資保険の第一の目的はこどもの教育資金を確実に貯めていくというもの。少しでも多くの学資金を準備するために、返戻率を必ずチェックしておくようにしましょう

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※マイナス金利政策
民間の金融機関が日本銀行に預けている貯金の金利をマイナスにすることです。マイナスにすると、民間の金融機関が日本銀行に金利を支払うことになるので、金融機関は企業などへの貸し出しや投資に資金を回すようになり、その結果、経済を活性化させようとする政策です。

※予定利率
保険会社が加入者から集めた保険料を運用することで増える見込みの利率のことです。予定利率は標準利率を目安にして保険会社が独自に決めています。

必要なときに現金化しにくい

学資保険に加入すると、毎月の保険料が自動で引き落とされます。毎月決まった額を確実に積み立てることができるので、計画的な貯蓄ができます。
しかし一方で、基本的には定められた満期まで積み立てたお金を引き出すことができません

保険を途中で解約することもできますが、その場合に受け取る「解約返戻金」の額は、ほとんどの場合で支払った金額より少なく、損をする可能性があります。

家計の都合で急にお金が必要になった時などに途中で現金化しにくいというのも、学資保険のひとつのデメリットといえるでしょう。

インフレになると価値が下がる

インフレとは、好景気によりモノやサービスの需要が高まり、価格が上昇することです。その逆の現象がデフレです。

学資保険の利率は契約時のまま固定されています。したがってインフレになるとその価値が下がってしまいます。

例えば大学入学時にに200万円を受け取るプランに、子どもが0才の時に加入した場合を見てみます。
加入時の物価で200万円の教育費が必要だと見込んでいますが、実際にそれから18年もの月日が流れて物価が20%上昇していたら、240万円が必要です。

しかし金利が固定されている学資保険は、物価の上昇に関係なく受取総額は契約時に決められた額のままです。
物価が上昇していても、受け取る金額は200万円のままなので、当初の計画より40万円足りないという状況になってしまいます。

したがって将来のインフレに対応するためには、教育資金を学資保険だけに頼るのではなく他の方法でも貯蓄しておくことをおすすめします

満期金の受け取り方によっては税金がかかる場合がある

学資保険で受け取る祝金や満期金。その受け取り方によっては税金がかかる場合が3パターンあります。

① 給付金の受取人と契約者が同じで、学資金を一括で受け取る場合

ある年に学資金を一括で受け取った場合は、学資保険で得た利益から50万円差し引いた金額の半分が、所得の一種である一時所得として課税対象になり、その分に税率を掛けた分を所得税として納める必要があります。

例えば、給付金400万円で返戻率が115%の学資保険の場合、

受取総額400万円 − 払込総額348万円  −  特別控除(最大50万円)= 2万円

この2万円の半分の1万円が課税対象となるので、所得税が10%の場合は
(1万円 × 10% =)1,000円を所得税として納めることになります。

※契約者の所得の有無、金額により税率は変動します。

② 給付金の受取人と契約者が同じで、学資金を分割で受け取る場合

学資保険は進学のステージに応じて、分割(年金形式)で学資保険を受け取ることもできます。
早いタイミングで一括で受け取る場合よりも、分割で受け取った残りの分が運用されるので、返戻率が高くなるメリットはありますが、この受け取り方の場合は「雑所得」となり、先ほどの一時所得のように特別控除がありません。

計算式は

学資年金額 −(支払い保険料総額 ÷ 年金受取回数)= 雑所得

となります。

ただ、この学資金と給与収入以外に、他の所得が無い場合は、雑所得が専業主婦なら38万円、サラリーマンの場合は20万円を超えなければ、税金の仕組み上、税金は掛かりません。
しかし、自営業者の場合は雑所得の金額にそのまま課税される事になります。

③ 給付金の受取人を契約者以外にした場合

契約者以外の人が給付金を受け取ると贈与税が課税されます。お子さまを受取人にするとこれにあてはまります。
先ほどの一時所得と雑所得は受け取りの金額から支払った保険料が差し引かれましたが、この場合は受け取った金額すべてに税率が掛かります。
場合によっては、運用益よりも税金の方が高くなってしまいます。

例えば、学資保険に保険料を総額300万円支払い、105%で運用したものを契約者以外が満期金として受け取った場合

受け取る学資金は 300万 × 1.05 =315万円となり、この315万円に贈与税が掛かります。

贈与税の計算

315万円 − 110万円(基礎控除)= 200万円(課税所得)

200万円の場合は税率が10%ですので、贈与税が20万円掛かることとなり、運用益の15万円より、贈与税の方が高くなってしまいます。

このように給付金を受け取る時に税金が発生すると、結果としてその学資保険は元本割れになる可能性があるので、加入時に注意しましょう。

それでも選びたい学資保険のメリットとは?

これまではデメリットについてお話しましたが、学資保険にはメリットもあります。

1つ目は「払込免除特約」という保障が付いていること
これは、契約者にもしものことがあった場合、それ以降の保険料の払込が免除され、満期になれば予定通りの満期金が受け取れるという特約です。

もしものこと、とは以下の場合です。

  • 契約者が死亡した時
  • 契約者が高度障害(がん・急性心筋梗塞・脳卒中)になった時
  • 契約者が身体障害者になった時

このような場合に「払込免除特約」が適用されます。あくまで契約者本人に限られるので、父親が契約者の場合は母親が上記にあてはまっても、この保障は適用されませんので注意が必要です。

契約者(=家族の大黒柱)に万が一のことがあっても子どもの教育資金は確保され、進学を諦めなくても良いということですから、この特約は学資保険に加入するとても大きなメリットといえます

2つ目は強制力があること

「学資保険は基本的に満期になるまでお金を引き出すことができない」ということは先にお話しましたが、言い換えると「必要な学資金を強制的に貯蓄することができる」ということです。
毎月決まった金額が自動的に引き落とされるため、計画的な貯蓄が苦手な人にとって学資保険に加入しておくのは大きなメリットといえます。

学資保険は選び方が大切!

学資保険のメリットを最大限活用するためには、その選び方が大切です。
ここからは選び方のポイントをみていきましょう。

「保障型」ではなく「貯蓄型」を!

学資保険には、保障型と貯蓄型があります。

① 保障型学資保険
子どもの医療保障や契約者にもしものことがあった時に育英年金がある。といった、教育資金を貯めながら手厚い保障が受けられるもの。
(育英年金とは、契約者が死亡・高度障害になった場合に満期になるまでの間、所定の年金が受け取れるものです。)

② 貯蓄型学資保険
保障がシンプルな代わりに返戻率が高く、貯蓄性を重視したもの。

保障型は貯蓄をしながら安心も得られる商品ですが、その保障も保険料でまかなっているので、その分返戻率が下がってしまいます
学資保険の第一の目的は教育資金の貯蓄なので、医療保障なども欲しい場合は他の保険で補うようにし、学資保険は保障をできるだけ省いた貯蓄性の高い商品を選んだ方がよいでしょう

貯蓄型学資保険にも、契約者の死亡や高度障害時にそれ以降の保険料の支払いが免除されるという「払込免除特約」がついていることがほとんどですので、もしもの場合でも教育資金を確保することが可能です。

確実に教育資金を貯めるには返戻率が高い商品を

先の章でも返戻率について触れましたが、学資保険を選ぶ際には、返戻率を意識することが大切です。

例えば、支払総額300万円で返戻率が108%の場合と95%の場合を比較してみます。

支払総額300万円 × 1.08(108%)
= 受取総額324万円

支払総額300万円 × 0.95(  95%)
= 受取総額285万円

このように返戻率が13%違うと、支払総額が同じでも受取総額は39万円も違います。
少しでも多くの学資金を受け取るために返戻率のチェックは必ず行いましょう

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返戻率が上がるプランの選び方

同じ学資保険でも、プランによって返戻率が変わってきます。
ここでは返戻率を上げる方法を紹介します。

① 払込方法を月払いではなく年払いにする
毎月支払う保険料は月払いのほかに、半年払いや年払いも可能です。年払いにすると一年間の払込総額は¥1,000~2,000安くなります。それを子どもが18歳まで続けることで、その差額は大きくなります。

払込額が少なくなっても受取総額は変わらないので、その分返戻率が上がります。

② できるだけ早い時期に加入する
学資保険は子どもや契約者の年齢が若いほど返戻率が上がります。

子どもが0歳で加入した場合と7歳で加入した場合では、親もその分年を重ねていますので、保険の種類により返戻率は2~3%も変わります。

子どもが生まれたらなるべく早く加入するようにしましょう。

③ 払込期間を短く設定する
学資保険は契約時に払込期間を選択できます。
子供の年齢で、10歳まで・15歳まで・18歳まで、などから選ぶことができますが、できるだけ払込期間を短くして払う回数を減らすと、払込総額を少なくすることができます
払込期間が短いほど毎月の保険料は高くなりますが、子供が中学生や高校生になるとそれまでより普段の生活費もかかるようになるため、その意味でも早く支払いを終えてしまうのは安心です。

④ 学資金の受け取り時期をできるだけあとにする
学資保険は加入期間が長いほど、保険会社がその資金を長く運用することができるため、返戻率が上がります。

プランによっては小学校・中学校・高校の入学時に祝金を受け取ることができますが、満期金の中から先に受け取ることになるので、その分満期金は少なくなり返戻率は下がります。

ですからなるべく途中の祝金は受け取らず、満期金の受け取り時期を遅く設定するようにし、中学や高校の入学金などは別で定期預金なので積み立てしておくとよいでしょう。

このように、「早く・まとめて支払いを済ませ、受け取りは先延ばし」することで返戻率は上がります。
ただし途中で支払いに困って解約することのないように、無理のない範囲でプランを選ぶことも大切です。

学資保険は賢く利用しよう

子育てをしていると毎日が忙しく過ぎていきます。
そんな中でこどもの将来のために貯蓄もしていかなければいけません。
それはわかっているけど、なかなか・・・という貯蓄が苦手な人にとっては、満期まで資金を使えない学資保険は大きな安心材料と言えます。

学資保険には上述したようなデメリットもありますが、メリットもたくさんあります。そこをしっかり理解したうえで、他の貯蓄方法も加えながら賢く利用していくようにしましょう

まとめ

  • 学資保険は保障よりも貯蓄を重視したプランを選ぶ
  • 加入する時は、返戻率・満期金の受け取り方を確認する
  • 学資保険の払込免除特約は大きな安心になる
  • 学資保険以外でインフレにそなえた貯蓄も必要

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