【FP監修】半育休の働き方とは?育休中に働く場合の収入や注意点を解説

育児休業を取得したときは、育児に専念して仕事は休業するという人がほとんどです。でも、育児休業制度では育休中に業務をすることも可能なのはご存知でしょうか。半育休とは、育休を取得しつつ、短時間業務するスタイルのことをいいます。
本記事では、そんな半育休のポイントや注意点、気になる収入面についてFPが解説します。

【この記事の監修】

ファイナンシャルプランナー 西田 凌 学資保険プロ

ファイナンシャルプランナー
西田 凌

複数の保険総合代理店にて勤務後、より多くの方に「正しい情報」を届けるために、現在は完全独立系のファイナンシャルプランナーとして活躍中。
年間100世帯の面談経験を元に、個人のコンサルティングやweb上での相談サービスに加え、お金の専門家として様々な情報サイトで執筆を手掛ける。
保険のみならず、年金や社会保険、資産運用や老後資金など幅広い知識で家計にベストなアドバイスを行うFPとして人気が高い。

FP2級・AFP 資格保有

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育休手当の支給は勤務先によって変わる

育休手当は正式には育児休業給付金や育児休業手当金といい、育児休業を取る人のために支払われるお金です。受給できるのは一定条件を満たした会社員、公務員、契約社員、パートで、勤務先から支給されるのではなく、雇用保険(公務員の場合は共済組合)から支給されます。給付条件など詳しくみていきましょう。

会社員・派遣社員・パート等は雇用保険から

会社員、派遣社員、パートの人たちは雇用保険から支給されます。
受給条件は以下のようになります。

  • 雇用保険に加入している
  • 1歳未満の子供がいる
  • 育児休業を取得前の2年間に1ヶ月に12日以上働いた月が12ヶ月以上ある
  • 育児休業取得中に1ヶ月に10日以下(もしくは80時間以下)しか働いておらず、働いている場合は育児休業前の賃金の8割以下の賃金である

この条件を満たしていれば、派遣社員やパート、バイトであっても育児休業給付金を受給できることになります。
育休給付金の受給期間は子供が1歳になるまでですが、保育所に入れないなどの一定要件のある場合、1歳6ヶ月、最長2歳まで受給期間が延長されます。

公務員は共済組合から

公務員は共済組合から支給されます。受給条件は
1歳未満の子供がいる
です。公務員も会社員と同様、保育所に入所できない場合は1歳6ヶ月、最長で2歳まで受給可能です。

公務員も会社員も両親ともに育児休暇を取得する場合、「パパママ育休プラス」という制度を利用し、子供が1歳2ヶ月になるまで育児休暇を取得することができます。この制度について詳しくはこちらの記事をチェックしてください。

自営業の場合は支給されない

自営業、フリーランスは雇用保険に加入できないため、育休手当を受給することはできません。

半育休ってどういう制度?

半育休は法制度ではありません。育休手当受給中に働くことが一切できないわけではなく、決められた範囲内でなら働くことができます。育休手当を受給できる範囲で働く…そんな育児休業休暇中の活用法を表現した造語がこの半育休なのです。

育児休暇を取りながら少し働くという制度

育児休業法は仕事と育児を両立できるよう支援するための法律なので、円滑な職場復帰のために月10日以内であれば育休中も働いて良いという決まりが従来よりありました。それが2014年の育児休業給付金制度改正により月80時間以内になり、勤務日数の縛りがなくなりました。育休中に短時間働くことで、慌てて引継ぎをしなくてよいこと、収入が増えることなどのメリットが最近注目されています。

法律で決まっているので、条件を満たせば誰でも取得できる

半育休は正式な言葉ではありませんが、厚生労働省のHPでは臨時・一時的な就労で、就労後も育児休業をするのであれば、支給対象となる、とあります。条件を満たせば誰でも半育休のスタイルで働くことができるのです。

月80時間までの業務がOK(育児休業給付金が給付される)

育児休業給付金を受給しながら働く条件として、厚生労働省のHPでは「1支給単位期間において、就労している日数が10日(10日を超える場合は、就労している時間が80時間)以下であることが必要」と記載されています。つまり育児休業給付金を受給するためには、月の就労日時が10日を超えた場合、就労時間を80時間以内に収める必要があるということになります。

男性も女性も取得できる

1歳未満の子供を養育していれば、男女問わず育児休業を取得することが認められています。平成30年度の調査によると、男性の育児休業取得率は6.16%。女性の82.2%に比べかなり低い数字ですが、半育休は完全に休まず育児に積極的にかかわることができるので男性の育児休業取得者数アップの後押しも期待できそうですね。

育児休業給付金と会社のお給料がもらえる

半育休の最大のメリットは、定められた就労時間を超えなければ、育児休業給付金と会社の給与がダブルでもらえることです。ただし働いた場合は申告が必要となり、その賃金によっては育児給付金が減額になったり、もらえない場合もあるので、育児休業給付金を満額受給したい場合は注意が必要です。この点については、注意点で詳しく説明します。

社会保険料の免除対象

育児休業休暇取得中は社会保険料が免除されます。半育休を利用し一時的・臨時的な就労をしている場合も同様に免除されます。就労時間が80時間以内であっても、毎週同じ曜日に同じ時間だけ働くと「定期的な就労」とみなされ社会保険料の免除対象から外れてしまうので気をつけましょう。

半育休の注意点

出産や育児によって社会と完全に遮断されることなく、育児休業給付金と給与をダブルで受給できる…メリットだらけのように聞こえる半育休ですが、知らないと損をしてしまうケースもあります。気を付けなければならないポイントをまとめました。

半育休は「一時的・臨時的な就労」のみ認められている

育休中の就労の大前提として、「一時的・臨時的な就労」であることがあります。恒常的・定期的に就労すると法律上、育児休業をしている状態には当たらないためです。たとえば1日4時間・月20日、毎週決められた曜日に出勤するという働き方は「一時的・臨時的な就労」に該当しないことになります。あくまで臨時的、突発的な対応による就労が認められています。

育休前の額面給与の80%を超えると給付金に調整が入る

晴れて条件を満たしたうえで就労し、給与も給付金ももらえる!というときにも注意が必要です。給与と給付金の合計額が育休前の給与収入の80%を超えると給付金金額が減額されてしまいます。

在宅勤務制度や短時間勤務制度などは半育休に当たらない

在宅勤務制度や短時間勤務制度を利用した場合は、半育休には該当しません。よって社会保険料は免除されません。

一時保育で保育園などに預ける費用が生じる

出勤時は子供を誰かに見てもらう必要がありますが、家族や夫婦の実家が頼れない場合は保育園などの一時保育施設に預ける必要があります。地域によって差はありますが0歳児の保育料の相場は1日2,000~5,000円です。10日働くために1日5,000円の保育園に預けるとすると出費は50,000円。その他、食事代やおやつ代がかかる場合もあります。

半育休で収入はどうなる?

半育休を利用し、育児休暇中に働くと、育児休業給付金に加えて働いた分の給与も支給されます。では、どのくらい働くことができ、どのくらいの収入を得ることができるのでしょうか。

育児休業給付金の支給額は?

育児休暇取得中に就労しなかった場合の育児休業給付金の支給額の計算式は原則としてこちらになります。

育休中に就労しなかった場合
賃金月額(休業開始時賃金日額※1×支給日数※2)×67%(6ヶ月経過後は50%)

※1 「休業開始時賃金日額」は育児休業開始前6か月間の賃金 を180で割った額を指しています。
※2 原則30日とされています。
※3 「賃金月額」が454,200円を超える場合は、「賃金月額」は454,200円となり、これに伴い育児休業給付金の上限額は304,314円(6ヶ月経過後:227,100円)となります。

育休中に仕事に就き、賃金が支払われた場合
賃金が賃金月額の13%(6ヶ月経過後は30%)以下の場合
 ⇒減額されません

賃金が賃金月額の13%(6ヶ月経過後は30%)を越え80%未満の場合
 ⇒賃金月額×80%−賃金=育児休業給付金の支給額

つまり、育休中に就労して得た賃金が、月額賃金の13%(6ヶ月経過後は30%)から80%未満になると、育児休業給付金の支給額は月額賃金の80%から賃金を引いた額が支給されることになります。

例をあげて育児休業給付金額を計算してみましょう。

■賃金月額が25万円で3日就労し、2万5千円の賃金が支払われた場合の給付額
 →賃金月額の13%に満たないので、減額されません。
 25万×67%=167,500円(育休開始~6ヶ月まで)
 25万×50%=125,000円(育休開始から6ヶ月経過後)

 
■賃金月額が25万円で4日就労し、3万3千円の賃金が支払われた場合の給付額
 →賃金月額の13%を超えるので、減額されます。
 25万×80%−33,000円=167,500円

育休中に賃金が支払われた場合の支給額の計算方法は?

育休中に働き賃金が支払われたときの支給額の計算方法は以下のとおりです。

育休中に仕事に就き、賃金が支払われた場合
賃金が賃金月額の13%(6ヶ月経過後は30%)以下の場合
 ⇒減額されません

賃金が賃金月額の13%(6ヶ月経過後は30%)を越え80%未満の場合
 ⇒賃金月額×80%−賃金=育児休業給付金の支給額

賃金月額が25万円と仮定してそれぞれの支給金額を算出してみましょう。

①賃金が賃金月額の13%以下の場合⇒
 賃金月額×67%(減額支給なし)

 25万円×67%(6ヶ月経過後は50%)
 =支給額167,500円

 
②賃金が賃金月額の13%(6ヶ月経過後は30%)を超え80%未満の場合⇒
(賃金月額×80%)−賃金(減額支給あり)

 賃金が5万円だった場合、賃金月額の20%になるので

(25万円×80%)−5万円=支給額15万円

 
③賃金が賃金月額の80%以上の場合⇒
支給はありません

 賃金が20万円だった場合、賃金月額の20%になるので給付金の支給はありません。

育児休業給付金の申請手続き方法についてはこちらの記事をチェックしてください。

育休中に働いた場合の給付上限額は?

育休中に仕事に就いた場合、育児休業給付金の上限額はどのくらいになるか気になりますよね。

賃金(育休中の就労賃金)が賃金月額の80%以上ある場合⇒支給されません

育休中の賃金が80%を超えると育休手当は給付されません。
仮に賃金月額が25万円とすると賃金は
25万×80%=20万円 
この額を超えた場合、育児休業給付金は支給されません。

給料が支払われた場合、雇用保険料を支払わないといけない

育児休業給付金の受給中であっても、雇用主からの賃金の支給があった場合は雇用保険を支払う必要があります。

半育休の手続き方法

まずは勤務先に育休取得の申請をしますが、企業によっては半育休の前例がないなどの理由で定型の申請書類がないこともあります。また社会保険料は免除されますが雇用保険料は支払うことになりますし、働き方によっては健康保険料、厚生年金保険料などの負担があり手取り収入が減ることもあります。育休に入る前に、人事担当者と相談し「給付金が受給できる月80時間以内で働きたい」など労働条件の確認をしっかりしておくと安心ですね。

子供が生まれたら、学資保険の検討をしましょう。詳しくはこちらの記事をチェックしてください。

まとめ

共働き世帯の増加によって、出産や育児でキャリアが途切れることを不安に思う女性や、育休取得を推奨される男性が増えてきている時代。半育休はそんな時代にとてもフィットし、働き方の幅がぐっと広がるのではないかと期待が膨らみますね。一方で認められている「一時的・臨時的な就労」にどこまでが該当するのかグレーゾーンがあるのも確かです。実際に半育休を利用して働いている人たちがパイオニアとなって、今後新しい就労スタイルが確立されていくのではないでしょうか。

  • 育児休業休暇中であっても条件付きで就労ができる半育休
  • 就労時間を80時間以下に収めれば育児休業給付金も受給できる!
  • 注意!働き方や給与額によって給付金の減額あり
  • 半育休は新しい働き方。取得する場合は勤務先の人事部で諸条件の確認を

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